俺には、子供が4人おる
下二人は、小学校4年生と年長・・・今も道場に在籍して柔道を通じて、いろんなことを学んでくれてる
上二人は、大学1年生(現:北岡道場コーチ(悠葉))と高校2年生(関西で寮生活をしてる(REN))・・・この子たちも、ひん曲がることなく、今のところ、真っ直ぐに成長していってくれてる
でも・・・上二人に対しては、悔やんでも悔やみきられへんくらい、『柔道』の指導に関しては、俺自身ものごっつい後悔をしてる
今の俺の『北岡道場』の指導スタンスは、悠葉とRENに、この上なく勉強させてもうて出来上がったもんやとゆうても過言ではないくらい、彼らからは多くのことを学ばせてもうた
彼らが柔道を始めたのは、悠葉が2年生、RENが年長の時やった
当時、宮城県内だけに留まらず、全国でも強豪道場と称されるくらいの道場、「仙台練心会」で、お世話になっとった
周りの子供たちが、次々に結果を出していくことへの焦り・・・自分自身が大学・実業団とレベルの高い場所で「柔道」に取り組んできたにもかかわらず、彼らが思い描くような「柔道」をしてくれないことのジレンマ・・・・・
いつの間にか、自分が思い描く結果を求めて・・・自分の思い通りの「柔道」を求め・・・、要するに「自分の利欲」ばかりを彼らに押し付け、出来ないことへの怒りから彼らを殴ったり・・・結果を追及するがあまり、必要以上のトレーニングを課したり・・・・・「柔道」に取り組ませる理由が、少なからず歪んどったのは明らかやった
その後、悠葉が5年生、RENが3年生の時に、「北岡道場」を立ち上げたねんけど・・・その思いに、より一層拍車がかかり、暴言、体罰、よりハードなトレーニングは、日に日に増していくことになる
その結果・・・RENは5年生の時に、宮城県予選を勝ち上がり「全国小学生学年別柔道大会」への切符を手にすることができた
低学年の頃のRENを知ってる方々からすれば・・・天と地がひっくり返っても、RENが宮城県の代表になるなんて、思いもよらんかったと思う(現に、「RENが代表になるねんて、まったく思ってなかった」と、幾人もの方に言われたくらいや(^_^;))
その時の俺は・・・「どうや! 見たか!?」くらいの感情を持っていたかも知れへんし、また「全国大会でも、上位入賞を果たすために・・・」と、毎日のトレーニングもハードにし、日曜・祝日も道場に行って、RENと練習を「させた」
そう、今思えば、間違いなく・・・RENの意志を尊重して、頑張る彼を応援していたのではなく・・・俺自身の意思をごり押しして、RENにトレーニングや、日曜日の練習を「させとった」んやと思う
そして迎えた・・・「全国小学生学年別柔道大会」
結果は、予選リーグ敗退(当時は、3人での予選リーグがあった)
その大会で、3位入賞した選手(今でも、その子のお母さんとは、コンタクトがある(^^))と、一進一退の勝負をし、結果的には判定で負けてしまい、決勝トーナメントに上がることができへんかった
「その大会を経験した」とゆうんが、もっとも大きな理由やったと思うけど・・・ある時俺は、RENのこの先の人生を考えたことがあった
毎日毎日、トレーニングをして・・・悠葉と共に柔道の練習をして・・・日曜も祝日も、友達と遊ぶこともなく練習をして・・・・・「俺は、間違ってるんやないか?」と考えた
「小学校5~6年生の子は、もっと他にもやるべきことがあるんとちゃうんか!?」
「この先、中学生になった時にも、「柔道」なんかより、もっともっと学ぶべきことが山ほどあるんとちゃうんか!?」
・・・・・そない考えるようになった
友達とも遊ばなアカン・・・彼女とも遊ばなアカン・・・勉強もせなアカン・・・仲間と悪さもせなアカン・・・学校での自分の立ち位置を自分自身の力で確立せなアカン
「「柔道」なんかより、もっともっと、まだまだいろんな経験をする時間が、この子には必要なんとちゃうんか!?」って、自分の信念が固まり・・・俺は、ある時期、RENを完全に解放した
そうしたことで・・・RENは、水を得た魚のように、遊び呆けた
土日・祝日は、朝早くから友達と出かけて、ゲームセンターだの、アミューズメントパークだのに入り浸って、晩まで帰ってけえへん
平日も、友達と出かけては、悪さに明け暮れたことやろう(警察から連絡があったり、オッサンが家に怒鳴り込んできたり、学校の先生から連絡があったり・・・)
彼女とも、そらぁ楽しく過ごしてたみたいやった
せやけど・・・道場の練習の時間には、必ず道場に来たし(道場の練習が終わったら、また晩に出かけて行ったりしてたけど・・・(^_^;))、平日も俺らが仕事を終えて帰る頃には、必ず、家に帰ってきとった
悪さをする度合いとか、彼女と遊ぶことに関しても、「自己責任」を持って行動しとったみたいやし(正直に、いろいろ話してくれた)・・・ほんで、何より・・・正直に何でも話すくらいやから、俺との「親子関係」が良くなったのは事実やった
あのまま、俺が何にも気付かんと・・・俺の顔色を見ながら、RENに「柔道」をさせ続けとったら・・・・・
そない考えたら・・・背筋が凍る思いをするよ
子供は、いずれ親のゆうことなんか聞かへんようになりよる
ほんで、いつの間にか、背丈も追い越されるし、身体も出来上がってくる
そんな時が来るにも拘らず・・・大人目線で子供を見て、力だけでねじ伏せてたり、最後の切り札(体罰や威圧)を出しまくっとったら・・・・・子供に、足元すくわれるのも時間の問題っちゅうやつやで
せやから俺は・・・自分自身が「失敗したな」と感じたことを、道場に子供達をあずけてくださってるご父兄の方々には、「俺と同じ失敗は、してもらいたくないな」と、常々思ってる
だから・・・言葉は悪いけど・・・
『北岡道場』のスタンスは・・・「ええ加減」やねん
風呂もそうやろ?
熱すぎても、すぐのぼせてまうし・・・ぬるすぎたら、「ぬるいなぁ」って思うやん?
「ええ湯加減」が、一番長いこと、一番ゆっくりと、一番気持ちよく浸かってられるねん
小学校時代に、花が咲く子もおれば・・・中学校で、開花する子もおる
それでいても、高校生になったら、大半の人間は頭が揃う
その揃った所から、頭一つリードするためには、人よりも「辛抱と努力」をせなアカンのは当然や
その時にこそ、自分の意志で「辛抱と努力」ができる子になっててもらいたい
それこそが、社会に出て発揮されたら最高や!
人に「やらされてる」じゃなくて・・・自らの意志で「苦しいところ」に首を突っ込んででも、「人生の勝利」をもぎ取ってもらいたいと願ってる
単純明快や!
最後まで、畳の上に立っとったもんが「勝者」や!
最後まで、生き残ったもんが「勝者」や!
だから子供の頃は、一番長いこと浸かってられる・・・「ええ加減」が、一番やと思ってる
一人でも多く・・・そんな子が、道場から巣立っていってくれたら、俺は嬉しいなぁ~