『必然』21(悪夢の中 ~回想~)

そんな状況の中・・・平成22年、夏を迎えようとしていたある日・・・

俺は・・・「心療内科」の診察室におった

 

心の中はグチャグチャで・・・人を信用する気持ちを、失くしてもうてた俺は・・・

今にも何かに押しつぶされそうになっとって・・・

「今すぐにでも、消えてしまいたい」って思うほど、己自身を見失っとった

 

 

何の罪もない明美に、どれだけ嫌な思いをさせたんやろう?

何の罪もない我が子に、どんだけ大人の嫌な部分を見せてもうたんやろう?

ほんで・・・

何の罪もない道場生たちから、俺は大切な大切な居場所を取り上げてしもうてたに違いあれへん

 

「俺が、『夢』にまで見た道場運営っちゅうんは・・・こんなにまでに腐ったもんやったんか?」

そない、思えば思うほど・・・眠られへん夜が続いた

 

 

夜、寝るために電気を消すねんけど・・・

暗闇の中で、どんくらいの時が過ぎたんやろう?

 

やっと眠れたんかな?って思っても・・・すぐに目が覚めて、また同じ感情が押し寄せてくる

毎朝6時?に、近所のお寺の鐘が「ゴーン」って、鳴るんやけど・・・

一晩中、起きてるもんやから・・・毎朝、「そろそろ、鐘が鳴るな」って待ち構えてられるほど、眠られへん日(夜)は続いとった

 

 

 

平成18年10月10日・・・少しの不安と、大きな期待を抱えて立ち上げた『北岡道場』

それから、4年近くの時が流れとったけど・・・

俺は・・・今すぐにでも、すべてを叩き潰してしまいたい想いでいっぱいやった

 

 

 

 

 

 

俺の親父っていう人は・・・実家である大阪府泉南市で「砂川国際柔道クラブ」を運営してる

親父が、道場を設立したのは・・・俺が中学3年生の時

それまでは・・・泉南市柔道スポーツ少年団の指導員として、毎週日曜日に車で20分ほどの場所にある、小学校の「ちびっこホーム」を利用した柔道場に通っとった

 

親父には、ずっと以前から・・・自分の常設道場を持ちたいっていう『夢』があったみたいで・・・

その『夢』が実現したのは・・・俺が中学3年生の時

せやから、もう既に・・・「自分の道場で、自分の息子(俺)といっしょに柔道をする」っていう時期ではあれへんかった

 

せやねん!

俺の親父は「自分の息子と柔道をするため」に、柔道場を設立したのではなくて・・・

地域社会への貢献・・・ほんで、「純粋に柔道が好きや」っちゅう思いで、「砂川国際柔道クラブ(前:砂川道場)」を設立したんやな?

 

 

 

俺の親父は・・・地元:泉南市で生まれ育ち、地元の高校(泉南高校)に進学・・・その高校で柔道を始めたらしいわ

決して、柔道の強豪高校なんかではあれへんかったし・・・

おまけに、体が小さかった親父(高校入学時:55kg程度やったらしい  ちなみに、俺も高校入学時は、56~57kg程度しかなかったと記憶している)は、どんな理由やったんか?は、本人にしか分かれへんけど・・・

とにかく「柔道」っちゅうもんに、心底のめり込んでいったみたいやねんな?

 

当然やけど・・・高校3年間、大阪府大会で通用するようなレベルになんか、達することはあれへんくて・・・

ただ「高校で、柔道部に所属していた」っちゅう、単なる部活動の一環に終わったようけど・・・

それでも・・・

『柔道』に、魅せられた親父は・・・高校卒業後も、泉南市柔道スポーツ少年団の練習に、頻繁に足を運んどったらしい

 

 

 

俺は・・・親父が21歳の時の子

ちなみに、俺は・・2~3歳の頃から、親父が柔道の練習に行く時に、いっしょについていっとったみたいで・・・知らず知らずのうちに、お婆ちゃんが縫ってくれた柔道衣を着用して、「柔道」っちゅうもんに溶け込んでいったようやった

せやから・・・俺が、物心のついた頃(小学1~2年生頃)であっても、まだ20代後半でやった親父は・・・若かったんやろなぁ~?

とにかく怖かったっていう面影だけが・・・今でも、俺の心には鮮明に焼き付いている

 

 

俺は・・・とにかく、小さい頃は柔道が嫌いで嫌いで仕方がなかった

親父も、若かったっちゅうこともあって・・・また、長男(俺)を強くしたいっていう感情があったんやろな?

試合に負けては、ド突かれて・・・練習でも、しょっちゅう怒られとった記憶しかない

それが、悪循環となって・・・練習でも委縮してしもうて・・・親父の目を気にするばかりになってしもうとった

 

まして、試合になったら・・・まったく知らん子と戦う訳で・・・

「負けたら、どないしよう? 負けたら、怒られる」っていう感情ばっかりが俺の心を支配して・・・

試合をする前から、ビビった(関西では、小心者、怖がりのことを「ビビり」っていう)状態全開やった

 

その態度が、また親父は気に入らへんかったんやろうな?

「お前、試合をする前から、何ビビってんねんっ!?」

そない言われて、圧力をかけられるもんやから・・・そらぁもう、かなりの悪循環やったと思うよ

 

 

当然のように・・・試合に負けてくる俺は・・・

試合の内容はもちろん、試合に挑む気持ち、試合前のビビった態度まで・・・

全部含めて、親父から雷を落とされるっちゅのが毎回のことで・・・とにかく、柔道が嫌で嫌でたまらんかった

 

 

今、振り返ったら・・・子供にとって、そんな状況が「楽しい」なんて感じられるはずがあれへんし・・・

当然のように「負の悪循環」に陥ることは、一目瞭然やわな?

 

せやから、俺は・・・・・

我が子に対して・・・柔道含め、彼らの私生活全般に関して、一切何も言わへんようにしてるし・・・

道場の子供たちに対しても・・・柔道の結果云々に関しては、一切何も言わへんようにしてるねんけどね

 

 

 

 

ある日・・・その道場で、近所の市町の道場3~4チームが集まって、交流試合が行われた

その日は・・・いっしょに住んどったお爺ちゃんも、その試合を見に来てくれとったねんけど(俺は・・・お爺ちゃんの姿を、試合会場で見つけとった)・・・

 

俺は・・・当然のように、1回戦で手も足も出えへんまま、あっけなく負けてしまう

親父は、その時・・・審判をしとったんか?他の子の試合を見とったんか?定かではないけど・・・

試合後、しばらくしてから、俺の元に歩み寄ってきた

 

「お前、何してんねんっ!? ここに、何しに来たんじゃ? もう、先に帰れ!」

そない・・・俺に、吐き捨てよった

 

 

試合を見に来てくれとったお爺ちゃんは(俺の試合が終わった直後に、帰ってもうたんやろな?)・・・もう既に、会場にはおれへんかった

それを、分かっとった俺は・・・「でも、お爺ちゃん、もう帰ったと思うんやけど・・・」って、親父に言うたねん

 

ほんなら、親父は・・・

「誰が、「お爺ちゃんと帰れ!」って言うたんやっ!?  歩いて帰れっ!」って、吐き捨てよった

 

 

前述したけど・・・車で20分の距離やで!?

家に帰り着くまで、何時間かかったんやったかなぁ?

俺は・・・親父のことが憎らしく、悔しくて悔しくて、泣きながら歩いて家まで帰ったよ

確か・・・当時、俺は小学校2~3年生くらいやったんとちゃうんかな?って記憶してる

 

 

そんな少年(柔道)時代を過ごしてきた俺・・・

柔道が嫌いで嫌いで仕方なかったはずやのに・・・

なんでやろう?

中学3年生の時に・・・大阪府の隣の和歌山県にある、柔道の名門(当時)「和歌山北高校」への進学を望んだ

 

 

和歌山北高校に行くために・・・和歌山県内の親戚のおっさんの家に住所を移させてもらって(大阪府からでは、受験することができへんため)・・・俺は、中学3年生の2学期(9月の初旬)から、和歌山市内の中学校に転校した

そないしてまで・・・俺は、和歌山北高校に進学することを望んだ

 

「和歌山北高校に進学する」ことを望んだ俺やったけど・・・和歌山北高校は、県立高校

当然・・・入試試験で合格せえへんかったら、進学はできへん

 

せやけど・・・実は、俺・・・

中学2年生の最後の三者面談?の時・・・担任の先生から、お母ちゃんの目の前で・・・

「進学できる高校は、ありません!」って、太鼓判押されとってんよな?

 

 

そんな俺に対して・・・親父は・・・

「和歌山北高校に進学できへんかったら・・・「永平寺」に、坊さんの修行に出すからな!」って、言いよった

 

ウチの親父やったら、絶対にやりかねへん!

口にしたことは・・・絶対に、実行に移す人やったから(俺は、そうやって育てられてきたから)・・・

俺は・・・出来のいい同級生に、教えてもらいながら・・・必死になって勉強した

もちろん、和歌山北高校に進学したい意向があって、和歌山の中学に転校してるんやから・・・私立の高校なんか、受験させてもらえるはずもなかったからな

 

 

その甲斐あってか・・・

中学3年生の2学期の三者面談の時には・・・担任の先生から・・・

「桐蔭高校(和歌山市内(南学区?)の一番成績のいい高校)に、進学するんやろ?」って言われるくらい、成績は急上昇した

 

人間は・・・崖っぷちに立たされた時には、必要以上の能力を発揮するもんや!ってことを・・・

俺は、自分自身の身を以て経験してる

 

 

 

そないして・・・

中学卒業までの間・・・電車とバスを乗り継ぎ、1時間以上かけて通学をしたねんけど・・・

高校に入学すると同時に・・・実家を出て、寮生活を始めた

 

俺が・・・和歌山北高校を選択して、親元を離れることを求めたのは・・・

そんな親父から、離れたかっただけやったんかも知れへんなぁ?

 

いや・・・もしかしたら・・・

「一日も早く、親の力を借りることなく、自分独りでも生きていけるように!」っていう意味を込めて・・・

親父は・・・俺に、わざとキツく当たってきたんかも知れへんな?

 

 

そう言うたら・・・

いつやったか?(俺が、大人になってから)・・・親父が言うとった

「俺は・・・地元で生まれ育って、地元から出ることなく人生を歩んできた  

せやから・・・

お前には、ここ(地元)から出ていってもらって・・・俺が経験できへんかったようなことまで、経験してもらいたいと思ってたんや!」って

 

もしかしたら、俺は・・・

その『必然』を自ら引き寄せるべく・・・上手い具合に、親父に乗せられてしもうとったんかも知れへんな?

 

前述(永平寺の件)したけど・・・

親父は、そうやって・・・俺を育てる過程で、常に「逃げ場がない」状況を、あえて俺に与えてくれとったんかもな?

 

 

 

実は、俺自身も・・・我が子達が、物心ついた時から言い続けてきたことがある

 

「明日、俺が生きてる保証なんか、どこにもあれへん!

せやから・・・一日も早く、己自身独りで生き抜いていくため術を身につけろ!」って

 

それは、もちろん・・・金銭面のことではなくて・・・メンタル面の話やで

 

 

おまけに・・・

「三つ子の魂百まで」って、言うくらいやからな?

「親父は、どんなことであっても有言実行する奴やから・・・許容範囲を越えたら、絶対にヤバイ」っていうことを・・・

彼ら(悠葉、REN、SO、YAMATO)が幼い時から・・・徹底して植え付けて(有限実行)してきた

 

特に、RENに対しては・・・

「どんな場所でも、生き抜いていけるように!」って願って・・・相当厳しく接してきたと思う

 

俺は・・・RENが生まれた、その日やったか?翌日やったか?に・・・明美に、こない言うてる

「こいつと、いっしょに暮らせるのは・・・15年間だけ!

15歳になったら・・・家(親元)を出して、(俺らの手が届けへんような)広い世界に羽ばたいていってもらおうと思ってるからな」

・・・・・って

 

そない考えたら・・・

俺が・・・親元を離れたのも『必然』

RENも・・・15歳の時に、(自分で決断を下して)俺らの元を離れていったのも『必然』やったんやと思わざるを得んわな?(笑)

 

 

 

 

 

俺は、小学生の頃・・・柔道の試合で勝った記憶は、ほとんどあれへん

それが、中学生になったら・・・第二次性徴を迎えるのが遅かったっちゅうこともあって、なおさら勝つことはなくなってもうた

ちなみに、中学3年生の中総体は・・・

泉州地区大会(仙台地区大会や仙南地区大会などと同様)の1回戦で・・・白帯を巻いていた学年下の子に、あっという間に負けてる

 

そんな状態やったねんけど・・・(当時)柔道の名門、「和歌山北高校」に進学した

 

 

 

せやけど・・・

高校に入学してからは・・・俺にとって、さらなる地獄の始まりやった

 

俺らの高校時代は、とにかく監督から、殴る蹴るの鉄拳制裁は当たり前

練習中も毎日毎日、当たり前のように殴られるし・・・試合では、勝っても「勝ち方が悪い」っていうて殴られる

とにかく・・・その日一日を、如何に殴られへんように過ごせるか?っちゅうことだけを考えて、練習をこなしとった

 

「この技をしたら、怒られるやないか?」っていう思いから・・・監督が気に入ることのみを、顔色を窺いながら繰り返す有様

毎日毎日が、苦痛やったし・・・

柔道を通じて「修行」をせなアカン時期にも拘らず・・・俺らがやってたことは、「苦行」のほか何ものでもあれへんかった

 

 

そんな、「やらされ柔道」に徹した高校3年間を過ごした俺でも・・・いや、徹底的に「やらされてた」からこそなんやろな?

高校総体 和歌山県予選 個人-71kg級で準優勝できたし・・・団体戦では、仲間と共にインターハイに出場することもできた

 

柔道を「楽しい」っていう風には、いっぺんも感じることがなく過ごした・・・少年時代・・・ほんで高校時代

そんな時期を過ごしてきた俺やのに・・・

高校卒業後・・・「柔道を辞める」っていう選択肢は、これっぽっちもあれへんくて・・・

前述した通り、「国際武道大学」に進学した

 

 

 

その後の大学生活からは・・・今まで、記してきた通り

『必然』1(大学3年生の夏)

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